
トップ>「まぼろしの万博」を追って>(株)乃村工藝社 情報資料室での調査
まぼろしの万博こと「月島万博」を調査するにあたり、「博覧会国際事務局(以下「BIE」とする)は月島万博を承認しようと考えていたのか?」とういう点について、日本国内で発行された資料の検証をするため、(株)乃村工藝社 情報資料室を訪問しました。

↑資料室といえども、多数の貴重な書籍を初めとする資料が収蔵されていおり、それも1品1品丁寧に整理されているのが印象的でした。ご担当の石川さんから丁寧に資料をご案内していただきました。

↑月島万博にかかる資料はこの2冊のファイルに収蔵されています。この中には「会報万博」を初めとする当時の貴重な資料が多数収めれています。

↑ということで、会報万博を1冊1冊丁寧に拝読していきました。しかし、BIEとの交渉に関する言及はありません。会報万博は海外の「万博」の事情紹介をする、「万博とはこのようなもの」をいうことを浸透するために発行されたための誌であり、BIEとの交渉のような難しいことの報告には不向きなのかも知れません。
無論、月島万博にかかるBIEの会議が行われた直後の会報万博にもそのような記述がなく、当時の国民は真相を知らないまま、会報万博などの限られた情報源から得られることを信じていたのでしょう。

↑そのような中、日本万国博覧会概要(昭和13年2月版)の9ページに、BIEとの関係の記述がありました。その内容は次のとおりです。(一部、内容をわかりやすくするため、原文から修正しています。)
第4 外国の賛同
1、外国賛同招聘の方針
本博覧会は外交上の手続きにより外国の賛同を招聘することになっている。元来、日本万国博覧会は国際博覧会条約非加盟国はもちろん、加盟国に対しても広く公式賛同を求め万国博覧会たるのを挙げんとするものであるが、条約加盟国の賛同招聘に関しては本邦が右条約加盟国に非ざる関係上、本邦より日本万国博覧会に対する賛同招聘を受けたる条約加盟国は、条約の規定に依り右招聘を受託するに先ち、博覧会国際事務局の意見を求むることを要するのである。従って本邦としては条約に加盟していないけれども出来る限り同条約の規定に準じて諸般の手続きを執ることが条約加盟国に対する招聘の実績を挙ぐる上において好都合である。
本博覧会はこの方針の下に、一方に於いてはパリにある博覧会国際事務局の好意的了解を求むる交渉をなし、他方諸外国に対しては外交上の手続きにより賛同招聘状を発し、以って多数外国の賛同を期待しているのである。
要するに、月島万博の方針としては
「BIEに働きかけることによって、諸外国の参加を促したい」
ということが、日本万国博覧会概要に書かれている内容です。
しかし、BIEの反応は第2回の報告で記載したとおり、反応はよくありませんでした。そのようなこともあり、会報万博にはBIEとのやりとりについての報告がされていないのでしょう。一方で諸外国へのPR活動については、「海外向けの冊子が完成」などの報告が会報万博に掲載されているのとは好対照です。
この日本万国博覧会概要が発行されたのは、月島万博にかかるBIEの会議が開催される3ヶ月前のものです。その段階でこのような感じですから、単なる博覧会ならいざ知らず、「万博」を開こうとすること自体、非現実的にすら思えました。
報告は以上です。ご覧いただきありがとうございました。